76. 伊東監督とキャプテン大地
10月9日(月) 13:00 ZOZOマリン
オ 0 1 0 0 0 0 0 0 0 1
ロ 0 0 0 5 1 0 0 0 × 6
オリックス25回戦(14勝11敗0分)
勝║酒居(5勝1敗0S)
敗║山本(1勝1敗0S)
継投
オ║山本 澤田 岸田 比嘉 佐藤
ロ║酒居○ 松永◎ 関谷◎
本塁打
オ║
ロ║パラデス10号(4回裏3ラン)
『常勝西武の司令塔と呼ばれた男』
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今季最後のマリン。自ら、就任1年目の秋季キャンプで、主将に任命した鈴木大地から、感謝の思いを込められた真紅の薔薇🌹の花束を受けとる。
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ふと思う。西武ライオンズ監督退任、最後の試合を。花束も、労いの言葉もない。
そこで、ホークス王監督に、自分で買った花束を渡してくれるように頼んだ。球団に対しての無言の抗議。
ライオンズ終盤も散々ではあったが、その時とは、選手の目が違う。それはまるで、父を慕う子供のよう…
プロ野球に魅せられて、30年以上になる。しかし、これほどまでに選手に愛された監督を見たことがない。
「あの子達に、優勝の味を教えてあげたい」そう言い続けた伊東監督。「監督を胴上げしたい。男にしたい」と大地キャプテン。
思いはとうとう、幻のまま。しかし、思うところに意味がある「監督がいなければ、今の僕はいません」大地の言葉に胸が熱くなる。
やはり、伊東さんの目に狂いはなかった。まだ、若すぎると言う声の中、大地をキャプテンに任命した伊東さん。
今江はマリーンズ時代、キャプテンになった途端に、成績が後退。その当時、ベイスターズの石川、オリさんの後藤やら、キャプテンマークの選手の不振が目立った。
私はそれを、「キャプテンマークの呪い」と名付けた。故障が多く、出てもプレーにムラのある今江は、今一つ伊東監督の信頼を得ることができなかった。
これは、私の勝手な解釈なのだが、自分を評価しない監督への不満と、大地人気に対する嫉妬。これが、今江のFA の真相ではないかと思う。
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入団当初、鈴木福似のポッチャリの大地が、みるみる痩せていく。これがキャプテンの重圧。
笑顔でチームメイトを励まし、ファンサービスも積極的にし、プレーでも全力で引っ張り、敗戦時には責任を被る。
それを象徴したのが、交流戦の最終ゲームだった。ジャイアンツに3連敗したゲーム終了後、ベンチから立つこともできず、暫く呆然とグラウンドを見つめる大地の姿。
チャンスをいかせなかった自分を責め、憔悴しきったような表情だった。
『エリア66』岡田幸文。里崎智也からファンサービスを伝授され、選手会長となる。しかし、成績が上がらず、角中へとバトンタッチ。しかし、その角中も不振にあえぎ、その分責任感の強い、大地に負荷がかかる。
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この重圧に今江も負けた。そのことを考えると、大地の凄さがわかるはずだ。
あの小さな身体で、懸命に戦い続ける大地を見ていると、マリーンズに対しての不満も、押さえぎみになる。
どこのプロ野球選手も、ファンに対してのメッセージは、「みなさん、頑張りますので応援して下さい」だが、大地は違う。
「みなさん、一緒に戦いましょう」
大地の言葉は、選手とファンを1つにする。だから、負けた日に反省モードに入ってしまう。「私の応援が足らないから負けたんだ。明日は、仕事帰りにマリンへ行こう」
不思議なことに連敗中、私が観戦に行くと、劇的なサヨナラが多かった。
そのうち、自分を『勝利の女神』と勘違いしだす。ちなみに、今年の私の観戦成績は12勝0敗2分。そりゃあ、勘違いもするわさ。
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ジャイアンツ13連敗の時、ジャイアンツファンの姿勢を見た人たちの「ロッテファンを見習え」の声をあちこちで聞いた。
ただ、千葉ロッテマリーンズのファンがみんな優しいわけじゃない。『Twitter版ロッテファン』もいる。
しかし、マリサポは素晴らしい。勝った時ばかりバカ騒ぎする連中に、爪の垢を飲ませたいほどだ。
伊東さんの『世界一のファン』という表現に、思わず頷く私である。
どんなに大差で負けようが、連敗しようが、ゲームセットまで熱い応援をする。負ければ負けるほど、熱がこもる。
「頑張れよ」
「いいよ、明日勝てば」
これぞ、真のファン。
正直、私はマリーンズが勝とうが、負けようが関係ない。どれも、私が選んだマリーンズの姿なのだから。
しかし、負けると伊東さんが…
『私の青春』伊東勤が叩かれる。
辛い思いをする。
それだけがイヤで必死で応援していた。
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そして、いつも感じていた。
「監督のために」と戦うマリーンズ選手達の心を。
「おまえたちは、悔しくないのか!まだ諦める時期じゃないか!」そう言って、涙を流しながら選手に激を飛ばす伊東監督。
2015年夏の出来事である。
後に引退したサブが、「今までの野球人生の中で、監督が涙を流す姿を初めて見た。男にしたいと思った」と語っている。私の友達にライオンズファンだった友達がいる。
だった……というのは、例の花束事件以来、ライオンズに不信感を持ち、やめてしまったからである。私同様、熱狂的伊東勤ファンである。
彼女は伊東さん就任と同時に、マリーンズファンとなった。そこでポツリと呟く。
「伊東って、こんなに熱かったんだね」
ライオンズ時代はクールで、冷静沈着なイメージ。どちらかと言えば『静』しかし、伊東さんの本質は『動』
だ。
『静』に見えたのは、キャッチャーというポジションがそうさせたのだろう。黄金時代のライオンズと言えば、秋山幸二や清原和博、デストラーデ。打つ方ばかりのイメージがある。
しかし、あの黄金期は、伊東勤なくては語れない。その立場上、感情を制御していたのではないか。
優秀で、気位の高いライオンズ選手に比べ、マリーンズの選手は、戦力は低いが、素直でおとなしい。悪く言えば、どんくさい。恐らく、そこで伊東勤の本能が騒ぎ始めたのかもしれない。
青から黒へ
就任当初は雷も落とし、頑固親父モード。キャッチャー吉田がルーキー時代、監督室から目を真っ赤にして出てきたところを記者に目撃されている。
この5年・・・
闘将として、選手を導こうと奮闘。しかし、哀しいことに伊東勤のlevelに選手が追い付けなかった。
だが、追い付けなくとも、何とかしようとする気持ちだけは伝わってくるものだ。連敗するチームは、下を向きがちなのだが、そんな選手は一人としていなかった。
伊東さんの熱い心に触れるたびに、前向きになっていく選手達。結果が出ないと、不甲斐なさだけばかりが目立ってしまう。
ただ、やる気があって負けるのと、そうでない場合とは、見ていればわかる。私が感じていたのだから、側にいた伊東さんは、尚更だろう。
「すべて私の責任です」
「選手はよくやってくれました」
この言葉で、私は確信した。言い訳がましいことは一切言わず、自ら全ての責任を被る。そこで、私の脳裏に昨シーズン、開幕前のあの言葉がよぎる。
「1年間、山あり谷ありで、いいことばかり続かない。それぞれが、チームメイトを信じて助け合っていこう。それがウチの良さなんで、必ずいい結果が得られると思う。現場は俺が指揮を執る。責任は俺が取るんで、みんなは余計なことは考えずに、グラウンドで暴れてくれ」
そう言った後、球団職員や選手、コーチ陣一人一人とハグしてまわる伊東さん。
何度YouTubeで観たか。伊東さんは、口にしたことは実現する人。この言葉通り、責任という名のもとに去っていってしまう。
ボビーが、ロッテファンに最も愛された監督なら、伊東さんは、選手に最も愛された監督である。
その最も愛する監督と別れなければいけない原因を作ってしまったのは、自分達の不甲斐ないプレー。
退任発表後、角中の「自分達のせい」という言葉がこだまして止まない。
しかし、この辛い思いが、来年以降の彼らに何かをもたらすに違いない。伊東勤の熱き心の継承者達に、私は期待したい。
そして、この命尽きるまで、伊東勤のファンであり続けることも誓います。伊東さん、本当に有り難うございました。そして、これからも田村と大地を見守ってあげて下さいね💕